Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こきょうしちじゅうねん

故郷七十年

柳田 国男

Leggi 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) di 柳田 国男 (やなぎたくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 257.350 caratteri · 507 schermate

Aozora Bunko

松本の田中磐君という若い民俗学者の調査によると、信州ではどの流れにも必ずといってよいほど椀貸伝説があり、その中には河童から品物を借りる話もあるということである。水の神様から特別に恩恵をうけていたが、たった一つの条件を守らなかったために、幸せを失ってしまったという話の筋で、昔話の重要な趣向である。

辻川あたりでは河童はガタロというが、随分いたずらをするものであった。子供のころに、市川で泳いでいるとお尻をぬかれるという話がよくあった。それが河童の特徴なわけで、私らの子供仲間でもその犠牲になったものが多かった。毎夏一人ぐらいは、尻を抜かれて水死した話を耳にしたものである。市川の川っぷちに駒ヶ岩というのがある。今は小さくなって頭だけしか見えていないが、昔はずいぶん大きかった。高さ一丈もあったであろう。それから石の根方が水面から下へまた一丈ぐらいあって、蒼々とした淵になっていた。そこで子供がよく死ぬのである。私ももう少しで死にかかった経験がある。水が渦を巻いているので引き込まれるが、あわてないで、少しじっとしていると、流れのまにまに身体が運ばれ、浅瀬へ押し流されて、浮び上ることができる。