Classici giapponesi con furigana
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うきふね
文豪怪談傑作選・特別篇 鏡花百物語集
泉 鏡花
Leggi 文豪怪談傑作選・特別篇 鏡花百物語集 (うきふね) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 32.938 caratteri · 67 schermate
何の樹とも知らないが、これが呼びものの、門口に森を控えて、庭の茂は暗いまで、星に濃く、燈に青く、白露に艶かである。その幹深く枝々を透して、ぼーッと煤色に浸んだ燈は、影のように障子を映して、其処に行燈の灯れたのが遠くから認められた。
二枚か、四枚か。……半ばは葉の陰にかくれたが、亭ごのみの茶座敷らしい。障子を一枚細目に開けてあるのが、縦に黒く見えて、薄か、蘆か揺ぐにつれて、この催とて、思いなしか、長く髪の毛の動くような色が添った。
「下駄があります、薄暗うございますから。」
「やあ、きみじゃったな、……先刻のは。――」
縁のすぐ傍に居て、ぐるりと毛脛を捲ったなりで、真三に声を掛けたものがある。言つきで、軍人の猛者か、田舎出の紳士かと思われるが、そうでない。赭ら顔で一分刈の大坊主、六十近いが、でっぷり膏肥がしたのに酒気をさえ帯びている。講中なんぞの揃らしい、目に立つ浴衣に、萌葱博多の幅狭な帯をちょっきり結びで、二つ提げ淀屋ごのみの煙草入をぶらつかせ、はだけにはだけた胸から襟へ、少々誇張だけれど、嬰児の拳ほどある、木の実だか、貝殻だか、赤く塗った大粒を、ごつごつごつと、素ばらしい珠数を掛けた。