Classici giapponesi con furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Leggi 新生 (しんせい) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.815 caratteri · 663 schermate
確かにあの男は独探ですよ」
と言いながら自分の鼻の側へ人差指を宛行って見せた。さもさもあんな客を泊めたことを口惜しく思うかのように。
「ホラ、この町を毎日のようにうろうろした変な婦人が有りましたろう。皆さんで『カロリイン夫人』だなんて綽名をつけた婦人が有りましたろう。どうもあの婦人の様子がおかしいおかしいと思いました。あれは偽の白痴ですよ。偽の婦人ですよ。白粉なんかをいやに塗けてると思いましたが、今になって考えると、あれは男の顔ですよ」
と復た主婦が言って見せた。疑心に駆られたこの仏蘭西の女は自分の下宿の客ばかりでなく、町を徘徊した白痴の婦人までも独探にしてしまった。
窓の外を通る兵士の群を見送った眼で主婦の姪を見ると、岸本はリモオジュの田舎から出て来たこの娘が紅く顔を泣腫しているのに気がついた。彼女の兄も許婚にあたる人も共に出征の途に上るであろうと主婦が岸本に言って聞かせた。岸本は自分の部屋へ行った。列をつくって通る召集された市民の群はその窓の外に続いた。いずれも鳥打帽子を冠り、小荷物を提げ、仏蘭西の国歌を歌って、並木のかげに立つ婦子供に別離の叫声を掛けては通過ぎた。