Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
しんせい
新生
島崎 藤村
Leggi 新生 (しんせい) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.815 caratteri · 663 schermate
「どれ、どんなに重くなったか、父さんが一つ見てやろう」
「父さんがいらっしゃいッて」と節子は繁の方へ顔を寄せて言った。岸本は嬉しげに飛んで来る繁を後ろ向きにしっかりと抱きしめて、さも重そうに成人した子供の体躯を持上げて見た。
「オオ重くなった」
と岸本が言った。
「繁さん、今度は私の番よ」と針医の娘もそこへ来て、岸本の顔を見上げるようにした。「小父さん、私も――」
「これも重い」と言いながら、岸本は復た復たさも重そうに針医の娘を抱き上げた。
急に繁は節子の方へ行って何物かを求めるように愚図り始めた。
「お節ちゃん」
言葉尻に力を入れて強請るようにするその母親のない子供の声は、求めても求めても得られないものを求めようとしているかのように岸本の耳に徹えた。
「繁ちゃんはお睡になったんでしょう――それでそんな声が出るんでしょう――」と節子が子供に言った。「おねんねなさいね。好いものを進げますからね」
その時婆やは勝手口の方から来て、子供のために部屋の片隅へ蒲団を敷いた。そこは長火鉢なぞの置いてある下座敷で、二階にある岸本の書斎の丁度直ぐ階下に当っていた。節子は仏壇のところから蜜柑を二つ取出して来て、一つを繁の手に握らせ、もう一つの黄色いやつを針医の娘の前へ持って行った。