Classici giapponesi con furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Leggi 新生 (しんせい) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.815 caratteri · 663 schermate
そのかわりまた大きくなって、酷い父と子の衝突というものをも知らずに済んだ。彼はよくそう思った。自分の学ぶこと、為ること、考えることは父と何の交渉があるだろう、もしあの父が生きながらえていたらどんなことに成ったろうと。彼は自分の意のままに父の嫌いな外国語を修め始めようとした少年の日から、既にもう父の心に背き去ったものである。
不思議にもこの異郷の客舎で、岸本の心は未だ曾て行ったことの無いほど近く父の方へ行くように成った。父の声は復た彼の耳の底に聞えて来た。紅い太陽が輝くということなしに、さながら銅盤を懸けたかのごとく暗い寒空を通過ぎるような日に、凍った石の建築物の中で旅の前途を考えていると、
「捨吉。捨吉」
と子供の時に聞いた父の声がもう一度彼の耳に聞えて来るように思われた。
そればかりでは無い。父が生前極力排斥し、敵視した異端邪宗の教の国に来て、反って岸本は父を視る眼をさえ養われた。自分の国の方にいた頃の彼は、平田派の学説に心を傾けた父等の人達があの契冲や真淵のような先駆者の歩いた道に満足しないで、神道にまで突きつめて行ったことを寧ろ父等のために惜んだ。