Classici giapponesi con furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Leggi 新生 (しんせい) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.815 caratteri · 663 schermate
その晩は岸本もめずらしく酔った。夜が更ければ更けるほど、妙に彼の頭脳は冴えて来た。
「友人は好いことを言ってくれた。これ以上の死滅には自分は耐えられない――」
彼は自分で自分に言って見た。
呼んで貰った俥が来た。岸本は自分の家を指して深夜の都会の空気の中を帰って行った。東京の目貫とも言うべき町々も眠ってしまって、遅くまで通う電車の響も絶えていた。広い大通りには往来の人の足音も聞えなかった。海の外へ。岸本がその声をハッキリと聞きつけたのも帰りの車の上であった。あだかも深い「夜」が来てその一条の活路を彼の耳にささやいてくれたかのように。すくなくも元園町の友人が酒の上で言った言葉から、その端緒を見つけて来たというだけでも、彼に取って、難有い賜物のように思われた。どうかして自分を救わねば成らない。同時に節子をも。又た泉太や繁をも。この考えが彼の胸に湧いて来て、しかも出来ない事でも無いらしく思われた時は、彼は心からある大きな驚きに打たれた。
可成な時を車で揺られて岸本は住み慣れた町へ帰って来た。割合に遅くまで人通の多いその界隈でも、最早真夜中で、塒で鳴く鶏の声が近所から僅かに聞えて来ていた。