Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

Leggi 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 173.309 caratteri · 352 schermate

Aozora Bunko

その僧は、柾木家から、寺へ、焼いてくれと持って来た由来書を序文に書きたして、単なる綴ものを一層書物らしくしてしまった。文章の余りに稚拙なところや、誤字なども、少しばかり学問のあるまま、つい所々筆を入れたらしく、「開運日輪抄」と表題まで自分で附けた。――だがその表題の題簽も、年経て文字もかすかに手摺れてしまい、江戸時代になってから、何代目かの所蔵者が、またその横に、題簽を貼り加えた。そしてついでに書物の表題も、「柾木孫平治覚え書」と、ありのままに書き直している。

偶然、古書展のたくさんな虫蝕本のうちから、私の手にこの書が移ったのも何かの機縁というものであろうが、三百年前に焼かるべき物が、私のような者の眼にふれたことは、野武士柾木孫平治氏にとっては、恐らく大なる不幸を地下で嘆じていることだろうと思われる。かえって、一方の太閤にたいしてはわたくしは、これを種本として扱うにも、そう冒涜の罪は感じないのである。なぜならば、彼ほどな人が後世のために、余りに無名時代の自分の経歴を不明にまかせておいた事が、抑、史家の臆測を煩わして諸説紛々今もはっきりしない結果になった唯一の原因だからである。