Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 159.223 caratteri · 320 schermate
しかし、そのおりの、彼女の顔付は、いつも、あまり愉快そうではなかった。
「恭ちゃんはいつも一番なのに、次郎ちゃんはどうしたんです。」
これが、次郎が卵焼を食べ終ったあと、きまってお浜の口をもれる小言であった。
この小言は、ふだんにもしばしば校番室で繰り返された。次郎は、最初のうちはすまないような気もしていたが、たび重なるにつれて、次第にうるさくなって来た。そして彼が校番室に出入することも、そのためにだんだん少くなっていった。
もっとも、彼が校番室に遠ざかるようになったのは、決してそれだけの理由からではなかった。今では、彼は全く色合の異った三つの世界をもっている。その第一は、母や祖母の気持で生み出される世界、その第二は、お浜や父や正木一家に取り巻かれている世界、そして、その第三は、彼が、入学以来、彼自身の力で開拓して来た仲間の世界である。この第三の世界は、新鮮で、自由で、いつも彼を夢中にさせた。彼が第二の世界を十分に愛しつつも、第三の世界のために、より多くの時間を割くようになったのに、不思議はなかった。
とも角も、彼はこうして二年に進み、三年に進んだ。