Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 159.223 caratteri · 320 schermate
「僕だって、すぐ五疋だい。」
竜一は額に汗をにじませて、少しあせっている。
「早く十疋になった方が勝だぜ。」
「うむ、よし。」
「僕が勝ったら、何をくれる?」
「ナイフをやらあ。」
「じゃ、僕負けたら色鉛筆をやる。」
「ようし、……ほら五疋。……あっ、畜生、またはずしちゃった。こいつ、うまく噛みつかないなあ。」
竜一はそう言って、握っていた蝗を気短かに地べたに投げつけた。
「ほら、僕、もう六疋だぜ。」
と、由夫はますます落ちついている。
「くそ! 負けるもんか。」
竜一は顔を真赤にして新しく蝗をつかまえにかかった。
由夫は村長の次男坊、竜一は医者の末っ子である。隣同士なせいで、よく一緒になって遊びはするが、両家の間に変な競争意識があって、それが自然二人にも影響しているためなのか、心からは親しんでいない。性格から言っても、竜一は単純で、無器用で、よくおだてに乗る子であるのに、由夫は、ませた、小智恵のきく子で、どうかすると、遠まわしに竜一の親たちの陰口をきいたりする。賭事ではむろん由夫がうわ手である。今日も、彼は、竜一をうまくおだてて、蝗の首取り競争を始めたところなのである。