Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 159.223 caratteri · 320 schermate
「犬かしら。」
彼女は立ち上って、二三歩生籬に近づきながら呟いた。
「人間だよ。」
生籬の外からおどけたような子供の声が聞えた。つづいて四五人の子供が、わざとらしく高笑いした。
そのあと、急に生籬の外がそうぞうしくなった。
「里っ子、ちびっ子、よういよい。ちびっ子、じろっ子、よういよい。」
この辺の盆踊りの節をまねて、そう唄いながら、子供たちは生籬の外で足拍子を踏んだ。
「まあ憎らしい。……次郎ちゃん、我慢するのよ。」
春子は、生籬の方を向いたまま、右手をうしろの方で振って、次郎をなだめるような恰好をした。が、もうその時には、次郎は縁台の近くにはいなかった。彼は裸のまま、いつの間にか門の方へ廻って、子供たちの群に襲いかかっていたのである。
生籬の外では、忽ち大乱闘が始まった。
「わあっ。」
という子供の悲鳴。捧切のふれ合う音。折り重なった黒い人影。
「誰か早く来て!」
春子は金切声をあげた。
竜一の家の人たちが飛び出して、みんなを取鎮めた時には、次郎は四五人の子供たちによってさんざんに棒切れで撲られているところだった。しかし、不思議にも、悲鳴をあげていたのは彼ではなかった。