Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 159.223 caratteri · 320 schermate

Aozora Bunko

それに、恭一や俊三がやって来てからは、うまい口実が出来たような気がして、めったに病室にも落ちつかなかった。彼は誠吉と一緒に二人を近くの溜池につれ出してよく鮒を釣った。

四五日して、珍しく本田のお祖母さんがやって来た。今度は火傷のことが大ぎょうに問題にされた。彼女は、お民の病気よりその方の話により多くの興味を覚えるらしかった。彼女は幾度も幾度も、

「親不孝の天罰というものでございます。」と言った。そして次郎に対して、

「お母さんの病気が重くなるのも無理はないよ。それでお前は看病をしている気なのかい。」

と、いかにも、みんなの前で自分が責任を以て次郎を戒めている、といったような調子で言った。次郎はその時そっぽを向いていた。すると、本田のお祖母さんは、正木の老人の方を向いて訴えるように言った。

「ほんとに、どう致したらよいものでございますやら。すぐにも私の方に引取らなくてもよろしゅうございましょうか。」

誰も、しかし、真面目になって受け答えするものがなかった。次郎にもよくその場の空気が呑みこめた。だから、彼はあまり腹もたてず、かえって、それ見ろ、といったような気にさえなるのだった。