Classici giapponesi con furigana
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しぶえちゅうさい
渋江抽斎
Leggi 渋江抽斎 (しぶえちゅうさい) di Mori Ōgai (森 鴎外) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 166.525 caratteri · 334 schermate
その三十二
ぜなかったのだそうである。
しかし二十余家を経廻るうちに、ただ一カ所だけ、五百が仕えようと思った家があった。それが偶然にも土佐国高知の城主松平土佐守豊資の家であった。即ち五百と祖先を同じうする山内家である。
五百が鍛冶橋内の上屋敷へ連れられて行くと、外の家と同じような考試に逢った。それは手跡、和歌、音曲の嗜を験されるのである。試官は老女である。先ず硯箱と色紙とを持ち出して、老女が「これに一つお染を」という。五百は自作の歌を書いたので、同時に和歌の吟味も済んだ。それから常磐津を一曲語らせられた。これらの事は他家と何の殊なることもなかったが、女中が悉く綿服であったのが、五百の目に留まった。二十四万二千石の大名の奥の質素なのを、五百は喜んだ。そしてすぐにこの家に奉公したいと決心した。奥方は松平上総介斉政の女である。
この時老女がふと五百の衣類に三葉柏の紋の附いているのを見附けた。
その三十二
山内家の老女は五百に、どうして御当家の紋と同じ紋を、衣類に附けているかと問うた。
五百は自分の家が山内氏で、昔から三葉柏の紋を附けていると答えた。
老女は暫く案じてからいった。