Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

Leggi 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 229.387 caratteri · 453 schermate

Aozora Bunko

七月十二日

一代をそれで終ることが珍しくはないのです。

借金と云えば、この間うちのいろいろな借金の束を見せていただいて私たちは「これだけあれば家宝ですよ」と大笑いしました。お母さんは借金なしという生活はこの四月以来初めてだと云っていらっしゃいました。この四月以来ですって。三十何年間の話ですね。

ああ今やっと隆ちゃんたちが戻って来た。お母さんが「お父さんの命日にお前」何とか、心配したことを話していらっしゃるらしい。私も下りて見ましょう、おやこれからお昼らしい、カチャカチャ茶わんの音がする。「百合子はん一寸来て見てつかわせ」何だろうと行って見ると室積では鯖が十何万疋とれてこれから又広島へそれを運ぶ、一寸よってお昼をたべているのだが、トラックにのって来た人が二十五疋ばかり鯖をくれている。うらや前やに分け野田さんが来たのにも分ける。お父はんの命日にというあとは、よく稼いでよろこんでじゃろというのでした。御燈明がついている。昨夜からかけて70ばかり稼ぐらしい、こんなことは何年にもないとの由です。では又。隆ちゃん夕飯代二人分一円もらって又出てゆきます。

七月十二日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 山口県島田より(封書)〕