Classici giapponesi con furigana
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きどうむかしがたり
綺堂むかし語り
岡本 綺堂
Leggi 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 183.656 caratteri · 363 schermate
お祭りの乞食芝居を痛罵した阿母さんは、鬼ばばァと謳われながら死んだ。清元の上手な徳さんもお玉さんも、不幸な母と同じ路をあゆんでゆくらしく思われた。取り分けてお玉さんは可哀そうでならなかった。母は鬼婆、娘は狂女、よくよく呪われている母子だと思った。
お玉さんは一人も友達をもっていなかったが、私の知っているところでは徳さんには三人の友達があった。一人は地主の長左衛門さんで、もう七十に近い老人であった。格別に親しく往来をする様子もなかったが、徳さんもお玉さんもこの地主さまにはいつも丁寧に頭をさげていた。長左衛門さんの方でもこの兄妹の顔をみれば打ち解けて話などをしていた。
もう一人は上田屋という貸本屋の主人であった。上田屋は江戸時代からの貸本屋で、番町一円の屋敷町を得意にして、昔はなかなか繁昌したものだと伝えられている。わたしが知ってからでも、土蔵付きの大きい角店で、見るからに基礎のしっかりとしているらしい家構えであった。わたしの家でも此処からいろいろの小説などを借りたことがあった。わたしが初めて読んだ里見八犬伝もここの本であった。活版本がだんだんに行なわれるに付けて、むかしの貸本屋もだんだんに亡びてしまうので、上田屋もとうとう見切りをつけて、日清戦争前後に店をやめてしまった。