Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きどうむかしがたり

綺堂むかし語り

岡本 綺堂

Leggi 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 183.656 caratteri · 363 schermate

Aozora Bunko

夏の食いもの

却ってこれも秋らしい感じをあたえるものである。

金魚も肩にかついで売りあるくよりも、夜店に金魚桶をならべて見るべきものであろう。幾つもの桶をならべて、緋鯉、金魚、目高のたぐいがそれぞれの桶のなかに群がり遊んでいるのを、夜の灯にみると一層涼しく美しい。一緒に大きい亀の子などを売っていれば、更におもしろい。

こんなことを一々かぞえたてていたら際限がない。

心頭を滅却すれば火もおのずから涼し。――そんなむずかしい悟りを開くまでもなく、誰でもおのずから暑中の涼味を見いだすことを知っている。とりわけて市中に住むものは、山によらず、水に依らずして、到るところに涼味を見いだすことを最もよく知っているのである。

わたしは滅多に避暑旅行などをしたことは無い。

夏の食いもの

ひろく夏の食いものと云えば格別、それを食卓の上にのみ限る場合には、その範囲がよほど狭くなるようである。

勿論、コールドビーフやハムサラダでビールを一杯飲むのもいい。日本流の洗肉や水貝も悪くない。果物にパンぐらいで、あっさりと冷やし紅茶を飲むのもいい。

その人の趣味や生活状態によって、食い物などはいろいろの相違のあるものであるから、もちろん一概には云えないことであるが、旧東京に生長した私たちは、やはり昔風の食い物の方が何だか夏らしく感じられる。