Classici giapponesi con furigana
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きどうむかしがたり
綺堂むかし語り
岡本 綺堂
Leggi 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 183.656 caratteri · 363 schermate
江戸の残党
口を明いて獅子を見ているような奴は、いちがいに馬鹿だと罵られる世の中となった。眉が険しく、眼が鋭い今の元園町人は、獅子舞を見るべく余りに怜悧になった。
万歳は維新以後全く衰えたと見えて、わたしの幼い頃にも已に昔のおもかげはなかった。
江戸の残党
明治十五、六年の頃と思う。毎日午後三時頃になると、一人のおでん屋が売りに来た。年は四十五、六でもあろう、頭には昔ながらの小さい髷を乗せて、小柄ではあるが色白の小粋な男で、手甲脚絆のかいがいしい扮装をして、肩にはおでんの荷を担ぎ、手には渋団扇を持って、おでんや/\と呼んで来る。実に佳い声であった。
元園町でも相当の商売があって、わたしもたびたび買ったことがある。ところが、このおでん屋は私の父に逢うと互いに挨拶をする。子供心に不思議に思って、だんだん聞いてみると、これは市ヶ谷辺に屋敷を構えていた旗本八万騎の一人で、維新後思い切って身を落し、こういう稼業を始めたのだと云う。あの男も若い時にはなかなか道楽者であったと、父が話した。なるほど何処かきりりとして小粋なところが、普通の商人とは様子が違うと思った。その頃にはこんな風の商人がたくさんあった。