Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きどうむかしがたり

綺堂むかし語り

岡本 綺堂

Leggi 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 183.656 caratteri · 363 schermate

Aozora Bunko

(二)

範頼が火を放って自害した真光院というのは、今の駐在所のあたりにあったと云い伝えられている。して見ると、この老いたる杉のうちには、ほろびてゆく源氏の運命を眼のあたりに見たのもあろう。いわゆる故国は喬木あるの謂にあらずと、唐土の賢人は云ったそうだが、やはり故国の喬木はなつかしい。

挽物細工の玩具などを買って帰ろうとすると、町の中ほどで赤い旗をたてた楽隊に行きあった。活動写真の広告である。山のふところに抱かれた町は早く暮れかかって、桂川の水のうえには薄い靄が這っている。

修善寺がよいの乗合馬車は、いそがしそうに鈴を鳴らして川下の方から駆けて来た。

夜は机にむかって原稿などをかく、今夜は大湯換えに付き入浴八時かぎりと触れ渡された。

(二)

二十七日。六時に起きて入浴。きょうも晴れつづいたので、浴客はみな元気がよく、桂川の下流へ釣に行こうというのもあって、風呂場はすこぶる賑わっている。ひとりの西洋人が悠然としてはいって来たが、湯の熱いのに少しおどろいた体であった。

朝飯まえに散歩した。路は変らぬ河岸であるが、岩に堰かれ、旭日にかがやいて、むせび落つる水のやや浅いところに家鴨数十羽が群れ遊んでいて、川に近い家々から湯の烟りがほの白くあがっているなど、おのずからなる秋の朝の風情を見せていた。