Classici giapponesi con furigana
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きどうむかしがたり
綺堂むかし語り
岡本 綺堂
Leggi 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 183.656 caratteri · 363 schermate
読書雑感
円本は勿論、改造文庫、岩波文庫、春陽堂文庫のたぐい、二十銭か三十銭で自分の読みたい本が自由に読まれるというのは、どう考えても有難いことである。
趣味から云えば、廉価版の安っぽい書物は感じが悪いという。それも一応は尤もであるが、読書趣味の普及された時代、本を読みたくても金が無いという人々に取っては、廉価版は確かに必要である。また、著者としても、豪華版を作って少数の人に読まれるよりも、廉価版を作って多数の人に読まれた方がよい。五百人六百人に読まれるよりも、一万人二万人に読まれた方が、著者としては本懐でなければならない。
それに付けても、わたしたちの若い時代に比べると、当世の若い人たちは確かに恵まれていると思う。わたしは明治五年の生まれで、十七、八歳すなわち明治二十一、二年頃から、三十歳前後すなわち明治三十四、五年頃までが、最も多くの書を読んだ時代であったが、その頃にはもちろん廉価版などというものは無い。第一に古書の翻刻が甚だ少ない。
したがって、古書を読もうとするには江戸時代の原本を尋ねなければならない。
その原本は少ない上に、価も廉くない。わたしは神田の三久(三河屋久兵衛)という古本屋へしばしばひやかしに行ったが、貧乏書生の悲しさ、読みたい本を見付けても容易に買うことが出来ないのであった。