Classici giapponesi con furigana
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きどうむかしがたり
綺堂むかし語り
岡本 綺堂
Leggi 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 183.656 caratteri · 363 schermate
私が病人であるのを幸いに、夜なかに持ち逃げでもされては大変である。九度以上の熱があろうが、苦しかろうが、今夜は迂濶に眠られないと、私は思った。
そうは思いながらも、高の煮てくれた粥を食って、用意の薬を飲むと、なんだかうとうとと眠くなって来た。ふと気が付くと、枕もとの蝋燭が消えている。マッチを擦って時計をみると、今夜はもう九時半を過ぎている、高の姿はみえない。はっと思って、私は直ぐに飛び起きた。
しかし荷物の包みはそのままになっている。調べてみると、品物には異状はないらしい。それでやや安心したが、それにしても彼はどこへ行ったのであろう。二、三度呼んでみたが返事もない。台所の土間にも姿はみえない。この雨の夜にどこへも行くはずはない、あるいは何かの事情で私を置き去りにして行ったのかとも思った。なにしろ、これだけの荷物がある以上、油断してはいられないと思ったので、私は毛布を着て起き直った。砲声はやや衰えたが、雨の音は止まない。夜の寒さは身にしみて来た。
それから二時間ほどの後である。高は濡れて帰って来た。彼は一枚の毛布を油紙のようなものに包んで抱えていた。