Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きどうむかしがたり

綺堂むかし語り

岡本 綺堂

Leggi 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 183.656 caratteri · 363 schermate

Aozora Bunko

夏の花、秋の草、みな恙なく生長している。これほどの狭い庭に幾種の草花類が栽えられてあるかと試みにかぞえてみると、ダリヤ、カンナ、コスモス、百合、撫子、石竹、桔梗、矢車草、風露草、金魚草、月見草、おいらん草、孔雀草、黄蜀葵、女郎花、男郎花、秋海棠、水引、鶏頭、葉鶏頭、白粉、鳳仙花、紫苑、萩、芒、日まわり、姫日まわり、夏菊と秋の菊数種、ほかに朝顔十四鉢――まずザッとこんなもので、一種が一株というわけではなく、一種で十余株の多きに上っているのもあるから、いかによく整理されていたところで、その枝や葉や花がそれからそれへと掩い重なって、歌によむ「八重葎しげれる宿」と云いそうな姿である。

そのほかにも桐や松や、柿や、椿、木犀、山茶花、八つ手、躑躅、山吹のたぐいも雑然と栽えてあるので草木繁茂、枝や葉をかき分けなければ歩くことは出来ない。

「狭いところへよくも栽え込んだものだな。」と、わたしは自分ながら感心した。

狭い庭を藪にして、好んで藪蚊の棲み家を作っている自分の物好きを笑うよりも、こうして僅かに無趣味と殺風景から救われようと努めているバラック生活の寂しさを、今更のように考えさせられた。