Classici giapponesi con furigana
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きどうむかしがたり
綺堂むかし語り
岡本 綺堂
Leggi 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 183.656 caratteri · 363 schermate
汽車旅行をして駅々の停車場に到着したときに、車窓からその停車場をながめる。それがすこぶるおもしろい。尊い寺は門から知れると云うが、ある意味に於いて停車場は土地そのものの象徴と云ってよい。
そんな理窟はしばらく措いて、停車場として最もわたしの興味をひくのは、小さい停車場か大きい停車場かの二つであって、どちら付かずの中ぐらいの停車場はあまり面白くない。殊におもしろいのは、ひと列車に二、三人か五、六人ぐらいしか乗り降りのないような、寂しい地方の小さい停車場である。そういう停車場はすぐに人家のある町や村へつづいていない所もある。降りても人力車一台も無いようなところもある。停車場の建物も勿論小さい。しかもそこには案外に大きい桜や桃の木などがあって、春は一面に咲きみだれている。小さい建物、大きい桜、その上を越えて遠い近い山々が青く霞んでみえる。停車場のわきには粗末な竹垣などが結ってあって、汽車のひびきに馴れている鶏が平気で垣をくぐって出たりはいったりしている。駅員が慰み半分に作っているらしい小さい菜畑なども見える。
夏から秋にかけては、こういう停車場には大きい百日紅や大きい桐や柳などが眼につくことがある。