Classici giapponesi con furigana
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きどうむかしがたり
綺堂むかし語り
岡本 綺堂
Leggi 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 183.656 caratteri · 363 schermate
その混雑のあいだに一軒の虫売りが市松障子の家台をおろしている。松虫、鈴虫、草雲雀のたぐいが掛行燈の下に声をそろえて鳴く。ガチャガチャ虫がひときわ高く鳴き立てている。周囲がそうぞうしい為であるかも知れないが、この時この声はちっとも騒がしくないばかりか、昼のように明るい夜の町のまんなかで俄かに武蔵野の秋を見いだしたかのようにも感じられて、思わずその店先に足を停めるものは子供ばかりではあるまい。楊誠斎の詩に「時に微涼あり、是れ風ならず。」とあるのは、こういう場合にも適応されると思う。
夏の夜店で見るから涼しげなものは西瓜の截ち売りである。衛生上の見地からは別に説明する人があろう。私たちは子供のときから何十たびか夜店の西瓜を買って食ったが、幸いに赤痢にもチブスにもならないで、この年まで生きて来た。夜の灯に照らされた西瓜の色は、物の色の涼しげなる標本と云ってもよい。唐蜀黍の付け焼きも夏の夜店にふさわしいものである。強い火に焼いて売るのであるから、本来は暑苦しそうな筈であるが、街路樹などの葉蔭に小さい店を出して唐もろこしを焼いているのを見れば、決して暑い感じは起らない。