Classici giapponesi con furigana
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きどうむかしがたり
綺堂むかし語り
岡本 綺堂
Leggi 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 183.656 caratteri · 363 schermate
三、四十分ないし一時間の余裕をあたえて、それからポツポツ降り出して来るという順序で、昔のような不意撃ちを食わせない。いわんや青天の霹靂などは絶無である。その代りに揚がりぎわもよくない。雷も遠くなり、雨もやむかと見えながら、まだ思い切りの悪いようにビショビショと降っている。むかしの夕立の男性的なるに引きかえて、このごろの夕立は女性的である。雷雨一過の後も爽かな涼気を感ずる場合が少なく、いつまでもジメジメして、蒸し暑く、陰鬱で、こんな夕立ならば降らないほうが優しだと思うことがしばしばある。
こう云うと、ひどく江戸っ子で威勢がいいようであるが、正直をいえば私はあまり雷を好まない。いわゆる雷嫌いという程でもないが、聞かずに済むならば聞きたくない方で、電光がピカリピカリ、雷鳴がゴロゴロなどは、どうも愉快に感じられない。しかも夕立には雷電を伴うのが普通であるから、自然に夕立をも好まないようになる。殊に近年の夕立のように、雨後の気分がよくないならば、降ってくれない方が仕合せである。雷ばかりでなく、わたしは風も嫌いである。夏の雷、冬の風、いずれも私の平和を破ること少なくない。