Classici giapponesi con furigana
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とらのきば
虎の牙/透明怪人
江戸川 乱歩
Leggi 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 193.761 caratteri · 388 schermate
」
「じゃあ、人間でもイヌでもないとすると、いったい、なんだろうね。」
ふたりは、おびえたように、目を見あわせて、しばらく、だまっていました。
「ねえ、おかあさん、これは、きちがいが、塀をのりこえて、はいって来たのかもしれませんよ。きちがいは、ばか力がありますからね。」
「まあ、きみのわるい。でも、そんなきちがいが、このへんにいるという、うわさも聞かないけれど……。」
ふたりはなんだかこわくなって、そのまま、大いそぎで、うちの中へはいりました。そして、おとうさんが、会社からお帰りになるのを待って、このことをお話ししますと、おとうさんはお笑いになって、
「きちがいだなんて、そりゃ勇一の考えすぎだよ。やっぱりのらイヌだろう。イヌだって、腹がへると、死にものぐるいの力を出すからね。」と、おっしゃって、この事件はそのままになってしまいました。
ところが、その晩です。じつになんとも説明のできない、きみの悪いことがおこったのは……。
その晩は、いやにむしあつかったので、勇一君は勉強部屋の窓をひらいたまま、テーブルに向かって本を読んでいたのですが、本の活字を追っている目のすみに、なんだか白いものが、チラッとうつりました。