Classici giapponesi con furigana
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とらのきば
虎の牙/透明怪人
江戸川 乱歩
Leggi 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 193.761 caratteri · 388 schermate
鏡の向こうの明智は、すこしも笑っていません。たとえ笑ったとしても、あついガラスにへだてられているので、ここまで聞こえるはずがないのです。
そのふしぎな笑い声は、きみ悪く、いつまでもつづいていました。
「ハハハハハハ……。」
博士は、思わず立ちあがって、キョロキョロあたりを見まわしながら、
「だれだッ。」とどなりました。
「ぼくだよ。きみがとりこにしたと思っている明智小五郎だよ。ぼくはけっして、きみのとりこになんか、なっていないんだよ。」
ふしぎな声が、あざけるように、答えました。しかし、鏡の中の明智は、ベッドの上に半身を起こして、いぶかしげに、あたりを見ているばかりで、すこしも、ものを言ったようすもありません。だいいち、声の聞こえて来る方角が、まったくちがうのです。
明智は腹話術を使って、口を動かさないで、ものを言っているのでしょうか。それにしても、ガラスを通して、声が聞こえるというのは、へんです。魔法博士は、向こうの部屋で、どんな大きな声を出しても、こちらまで聞こえないことを、よく知っていたのです。
さすがの魔法博士も、なんだか、うすきみ悪くなってきました。