Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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とらのきば

虎の牙/透明怪人

江戸川 乱歩

Leggi 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.

N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 193.761 caratteri · 388 schermate

Aozora Bunko

じつに思いもよらぬ、ふしぎがおこったからです。

見よ、魔法博士のからだは、何かに引きあげられるように、かべをつたって、スーッと天井に、のぼって行くではありませんか。

たちまち、かれの異様な姿は、高い天井にくっついてしまいました。そこに一ぴきの大コウモリが、羽をひろげて飛んでいるのです。黄色と黒のだんだらぞめの長いかみの毛が、風に吹かれたようにみだれ、べっこうぶちの大メガネは、キラキラとかがやき、そのガラスのうしろから、いまこそまんまるにみひらかれた、虎のような目が、青く光って、じっと下界をにらんでいるのです。そして、あの異様なマントは、大きな羽のようにひろがって、ハタハタと、ぶきみな、はばたきの音をたてています。

「ワハハハハ……明智君、せっかくのきみの苦心も、水のあわだったねえ。おれはけっしてきみたちには、つかまらないよ。ワハハハハハ……、ワハハハ……。」

そして、そこの天井板が、スーッとひらいたかと思うと、大コウモリは、天井裏のやみの中へ、すいこまれるように、姿を消してしまいました。ふたたび、スーッと音もなく、しまる天井板。ぶきみな笑い声は、だんだん、かすかになって、やがて、聞こえなくなってしまいました。