Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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とらのきば

虎の牙/透明怪人

江戸川 乱歩

Leggi 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.

N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 193.761 caratteri · 388 schermate

Aozora Bunko

その姿が部屋の中の電灯をうけて、ふしぎな影絵のように、ゆらめいていましたが、やがて、ひらいたままのドアの中へ、ヨロヨロとはいったかと思うと、ドアがギーッと音をたてて、しまりました。そして、あたりは、またもとのくらやみになってしまったのです。

「ソレッ。」というので、四人はそこへかけつけ、ドアをひらこうとしましたが、中からかぎをかけたのか、ビクとも動きません。そこで、警官たちが、かわりがわり、たいあたりで、ドアにぶっつかり、見るまに、それをやぶって、中にふみこんで行きました。

そこは五、六坪のコンクリートの部屋でした。天井もかべもゆかも、すっかりコンクリートでぬりかためた、なんのかざりもなく、イス一つない牢屋のような部屋です。入り口のほかには、ドアもなく、また窓もありません。どこにも逃げだす個所のない、ふくろのような部屋です。

ところが、どうでしょう。その、まったく逃げ場のない部屋の中に、いまのさき、はいったばかりの怪人は、もう影さえ見えなかったではありませんか。そこには、人間はおろか、ネズミ一ぴきも、いなかったのです。魔法博士の二十面相は、煙のように消えうせてしまったのです。