Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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とらのきば

虎の牙/透明怪人

江戸川 乱歩

Leggi 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.

N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 193.761 caratteri · 388 schermate

Aozora Bunko

なんという、ふしぎな早わざでしょう。こわれたドアを引きだしている、わずかのあいだに、透明怪人は、帽子と面と着物だけをのこして、逃げさってしまったのです。着物をぬいで、はだかになれば、目に見えない透明怪人ですから、もういくらさわいでも、おっつきません。たとえ、すぐそばにいたとしてもとらえることはできないのです。

「アッ、あっちだッ。あっちへ逃げたッ。」

黒川記者が、さけびながら、くらやみの中へ、走りだしていました。あとの三人も、おどろいて、そのあとにつづきます。

「エヘヘヘヘ……、はいちゃ、はいちゃ……。」

二十メートルもむこうの、やみの中から、透明怪人の声がひびいてきました。そして、その声は、ひとことずつ、かすかになり、消えるように、遠ざかっていきました。

「もう、おっかけても、むだだ。黒川君、あきらめよう。」

中村係長はそう言って、もとの公衆電話の前にもどりました。道化服などを、証拠品として、もちかえるためです。係長は、つるしてあるひもをきって、とんがり帽子と、仮面と、道化服をまるめて、こわきにかかえましたが、そのとき、ふと気がつくと、公衆電話のゆかに、一枚の紙きれがおちています。