Classici giapponesi con furigana
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とらのきば
虎の牙/透明怪人
江戸川 乱歩
Leggi 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 193.761 caratteri · 388 schermate
なんだか、きみが悪くなってきましたが、花田君は、勇気のある少年でしたから、ふとんを出て、窓のそばにより、もう一度、「だれ?」と、声をかけ、それでも返事がないので、いきなり、障子をサッとひらきました。そして、ひらいたかと思うと、「アッ。」と、声をのんだまま、身うごきもできなくなってしまいました。ガラス戸の外に、化けものがいたからです。
ガラス戸の三十センチばかり向こうに、大きな顔がありました。背の高さは人間ほどですが、その顔は人間の三倍もあり、ランランとかがやく目、さか立つ黄色い毛、耳までさけた口、まっかな舌、するどい二本の牙。
おりから、満月に近い月が、中天にかかり、庭一面が銀色に光っていましたが、その月の光が、化けものの半面をてらしているので、こまかいところまで、まざまざと見えるのです。
はじめのうちは、何がなんだか、見わけられませんでしたが、心がおちつくにつれて、それが一ぴきの巨大な虎であることが、わかってきました。
その大虎はあと足で立ち、前足をガラス戸のさんにかけて、いまにもガラスをぶちやぶろうとするけはいを見せています。
牙のあいだから、まっかな舌を出して、ハッハッと息をする音が聞こえ、そのたびに、首から肩にかけて、黄と黒との毛なみが、波のように脈うつのです。