Classici giapponesi con furigana
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とらのきば
虎の牙/透明怪人
江戸川 乱歩
Leggi 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 193.761 caratteri · 388 schermate
いくら信じがたくても、それは事実だったのです。そのわけは、ずっとあとになって、わかります。
虎にまたがった花田少年は、まるで、猛獣国を征服した王者のように見えました。しかし、花田君は、そのとき、いばっていたわけではありません。いばるどころか、まるでむがむちゅうでした。猛獣が人間に催眠術をかけることができるとすれば、花田君は、この催眠術にかかっていたのです。花田君の目は、まるで夢遊病者のように、うつろだったのです。
虎は、やがて、大通りへ出ました。もう二時ごろでしょうか、昼間はにぎやかな大通りも、いまは人影もなく、さばくのように、さびしいのです。向こうの電柱のそばに、一台の自動車が、ヘッド・ライトを消して、黒い怪物のように、とまっています。虎はその自動車のほうへ歩いて行くのです。
とつぜん、ごく近くから、「キャーッ。」という悲鳴が、しずまりかえった深夜の町に、ひびきわたりました。そして、自動車とはんたいがわの、月光のささない、のき下を、黒い人影が、死にものぐるいに、かけだしているのが見えました。
この真夜中に、急な用事でもあったのか、そこをひとりの女の人が通っていたのです。