Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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とらのきば

虎の牙/透明怪人

江戸川 乱歩

Leggi 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.

N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 193.761 caratteri · 388 schermate

Aozora Bunko

まるで墓場のようなしずかさです。

入り口のドアにかぎをかけて行ったようすもなく、出ようと思えば出られるのです。みんなの寝しずまるまで、待つつもりでいたのですが、それほど用心することも、なさそうです。小林君はドアのそばへ行って、しばらく耳をすましたうえ、ソッととってをまわしてみました。

かぎはかかっていません。ソッとおすと、おもい板戸は音もなくひらきました……。アッ、いけない。だれかいる……。十センチほどひらいた戸のすき間から、のぞいて見ると、まっ暗な廊下の、すぐ目の前に、なんだかへんなものが、うずくまっているではありませんか。

大きな目です。人間の五倍ほどもある大きな二つの目が、やみの中に青く光っていました。虎です。一ぴきの猛虎が、まるで番兵のように、戸の外にすわっていたのです。

小林君はハッとして、いそいで戸をしめましたが、こわいもの見たさに、またソッと、ごくほそく戸をひらいて、のぞいて見ますと、虎はノッソリと立ちあがって、こちらをにらみつけながら、廊下を歩きはじめました。どこかへ立ちさったのかと思うと、そうではなくて、またもどって来ます。そして、小林君の部屋の前を、行ったり来たりして、いつまでも見はりをつづけているのです。