Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(三)酒屋火事

野村 胡堂

Leggi 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 146.725 caratteri · 298 schermate

Aozora Bunko

その時でした。

どこからともなく飛んで来た一本の吹矢、咳き込むはずみに、少し前屈みになった又左衛門の二の腕へ深々と突っ立ったのです。

「あッ」

心得のない人ではありませんが、全く闇の礫です。思わず悲鳴をあげると、

「どうしたどうした、大旦那の声のようだが」

店からも奥からも、一ぺんに風呂場に雪崩れ込みます。

見ると、裸体のまま、流しに突っ起った主人又左衛門の左の腕に、白々と立ったのは、羽ごと六寸もあろうと思う一本の吹矢、引抜くと油で痛めた竹の根は、鋼鉄のごとく光って、美濃紙を巻いた羽を染めたのは、斑々たる血潮です。

「俺は構わねえ、外を見ろ、誰が一体こんな事をしやがった」

豪気な又左衛門に励まされるともなく、二三人バラバラと外へ飛出すと、庭先に呆然立っているのは、埃除けの手拭を吹流しに冠って、燃え草の木片を抱えた嫁のお冬、美しい顔を硬張らせて、宵闇の中にどこともなく見詰めております。

「御新造様、どうなさいました」

「あ、誰かあっちへ逃げて行ったよ。追っかけて御覧」

と言いますが、庭にも、木戸にも、往来にも人影らしいものは見当りません。

「こんな物が落ちています」