Classici giapponesi con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 146.725 caratteri · 298 schermate
座敷の中へ上げて、床の上に寝かし、形ばかりですが、一と通りのことはしてあります。死骸の側に身も世もあらぬ姿で泣いているのは、十八九の娘、――これは、殺された主人福島嘉平太の一粒種で、お頼という美しいの。その側から、慰め兼ねておろおろしているのは、「小父さん」と言われる、故人と昵懇の浪人者、跡部満十郎という四十男です。
娘お頼の悲歎は見る目も気の毒でした。天にも地にも、たった一人の肉親は、青竹を削って、鍔と柄だけを取付けた竹光で、背中から縫われ、獣のように死んでいるのです。
「旦那、気の毒ですが、傷口を洗ってみなきゃなりません」
平次は、笹野新三郎に囁きました。
「そうするがよい」
新三郎が目で指図すると、ガラッ八と平次は、早速盥を持出しました。生温の湯が一杯、源吉の手を借りて、丁寧に死骸の傷口を洗い始めたのです。
殺された福島嘉平太はまだ五十そこそこ、武芸で鍛えた身体は、鉄で鋳抜いたように見事なものです。傷は左肩の下五寸ほどのところ、竹光を着物の上から突っ立てて、肉が無慙にはぜておりますが不思議なことに、竹光を突っ立てた傷の周囲に、二ヶ所ほど、別の軽い傷があって、それは、洗ってみると、血がにじんだ様子もありません。