Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(九)不死の霊薬

野村 胡堂

Leggi 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 144.106 caratteri · 292 schermate

Aozora Bunko

八五郎は叔母の手を引くと、行灯を吹き消して、そっと部屋の外へ滑り出ました。

折柄、座敷の方では、わめき立てる女どもの声々。

「お客様は居ませんよ」

「岡っ引が逃出しましたよ」

二十幾人のソプラノとアルトが、夜の空気を揺るがして諸方に響き渡ります。

「八五郎」

「叔母さん、大丈夫だ」

がしかし、四方の門は厳重に締っている上、廊下も池も、部屋部屋も、溢れるような光の氾濫で、身を隠す隈などがあろうとは思われません。

「叔母さん、この中へ入って下さい」

裏口に置いたのは、先刻ガラッ八が送られた駕籠。

「お前は?」

「私はどんな事でもしますよ」

危ぶむ叔母を駕籠の中に押込むと、ガラッ八はいきなり縁の下に潜り込みました。

一方は、その晩も神田の平次の家から出て来た、お高祖頭巾のお静。

両国橋の上へ来ると、後ろから、やくざ者らしい男に声をかけられました。

「ちょいと、待って貰おうかい、お神さん」

「…………」

小刻みな駆け足になると、前からも一人。

「どっこい、こっちにも関所があるよ」

前後から、ヒタヒタと寄せて、後ろの男の手が、お静の襟に掛りました。

「待てと言ったら、待つものだよ」