Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(九)不死の霊薬

野村 胡堂

Leggi 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 144.106 caratteri · 292 schermate

Aozora Bunko

――後に気をつけるのだぞ」

「父上様」

不思議な予感に怯えて、お礼は土間へ飛降りました。

「よいか、お礼、留守を頼むぞ、――仔細は帰ってから話す。――こんな馬鹿なことがあるものか、とんでもない」

父親蔵人は、老人らしくもない軽捷さで、ヒラリと身体をかわすと、漆のような街の闇に――。

「父上様」

追いすがるお礼。

がしかし、老人の足は思いのほか早く、街の闇を縫って、その姿を隠してしまいました。

どこからともなくヒタヒタと響く跫音、それはしかし、父親のとも、ただの往来の人のとも判りません。

それからほんの半刻(一時間)ばかり、お礼は立ったり坐ったり、外へ出たり家の中へ入ったり、恐ろしい不安と焦躁に悩まされて、父の帰りをひた待ちに待ちました。

もう夜が明けるのではあるまいかと思うほど待ちましたが、実はほんの半刻ぐらいだったでしょう。上野の亥刻が鳴ったのは父親が出てから間もなくで、この事件が何もかも終ってから、お礼の緊張しきった身に、不思議に子刻(十二時)の時の鐘がはっきり聞えたことを記憶していたのです。

「今晩は」

子供らしい声で戸を叩くものがあります。お礼は這い寄るように表の戸を開けました。