Classici giapponesi con furigana
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あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Leggi 青べか物語 (あおべかものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.961 caratteri · 317 schermate
その貝は私の拳を横に二つ合わせたほどの大きさで、べらぼうに重たかった。私は生れつきするめが嫌いであり、いまなお嫌いで、酒を飲みにいっている店でするめを焼き始めでもすれば、待ったなしに退散するくらいである。したがって、そんな味のする貝などを採る気はなかったが、ゆきがかり上そんな顔もできず、大いに乗り気になったふうをよそおって、そのいまいましい貝を五つばかり掘った。
そのとき男は、沖のほうへ歩いてゆきながら、よく響くしおから声で「そのしとー」とどなった。
私が見てみると、二百メートルほど沖を一人の男が西に向って歩いていた。印半纏に足は裸で、頬かぶりをし、両手をうしろ腰に組んだまま、ひどく暢びりと歩いているのである。そこは脛の半ばぐらいまで水があり、男はその水の中で立停って振り返った。
「おめえそこでなにしてるだ」とこちらの看視人がどなった。
「なんか用かね」と男はどなり返した。
「そこでなにしてるかって訊いてるだよ」
「このとおり」男はうしろ腰で組んでいた手を解き、なにも持っていないことを証明するように振ってみせた、「――おらなんにもしてねえだよ」
「なんにもしてねえって」