Classici giapponesi con furigana
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あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Leggi 青べか物語 (あおべかものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.961 caratteri · 317 schermate
と増さんは云った、「このおらがおっかあにしたことに比べれば、あんなことっくれえ蠅の頭みてえなもんだ」
「先生は知るめえがね」と増さんは続けて云った、「おっかあを跛にしたなこのおらだ、おらがこの手でやったこった、――この手でおっかあの髪の毛をつかんで、うちの中じゅう引摺りまわし、殴ったり蹴ったりした、まるっきりきちげえになっていただな、足をあげて踏んづけたら、おっかあの脛の骨が折れちまっただよ」
私は黙って聞いていながら、それはたぶん平二郎が妻子を伴れて、蒸気河岸へ逃げだしたというあの晩のことだなと思った。
「おら骨を折ったとは知らなかっただ」と増さんは続けていた、「ただ、おっかあのやつが妙な声をだしたんで、ひょいと手を引いた、するとおっかあが倒れたまま、おらのことをじっと見あげながら云っただ、――どうか殺さねえでくれ、ってよ」
増さんは恥ずかしそうに眼をしばしばさせ、右手で、銀色の無精髭の伸びた顎を擦った。
「どうか殺さないでおくれって」と増さんは少しまをおいて云った、「おらを見た眼つきと、そう云うのを聞いたとき、おらそれまでに自分のしてきたことを、洗いざらい一遍に見せられたような気がしただ、なんもかんも一遍によ、――まさか嘘かと思うかもしれねえが、おらそんとき男泣きに泣いちまっただよ、がきみてえになあよ」