Classici giapponesi con furigana
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あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Leggi 青べか物語 (あおべかものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.961 caratteri · 317 schermate
お兼はもうそこにいて、暗い小屋の前から彼を呼んだ。助なあこは膝ががくがくするので、転ばないように用心しながらそっちへいった。
「待たせるのね、あんた」お兼はじれったそうに云った、「女を待たせるなんて罪よ、にくらしい」
お兼は衝動的に助なあこの手を握った。彼は狼狽して、ぶきようにしりごみをし、握られた手を放そうとしながら、云った、「なにか話すことがあるって」
その声は喉でかすれ、言葉ははっきりしなかった。お兼は含み笑いをしながら、握った手をもっと引きよせた。土堤のときよりも強く、白粉と女の匂いが彼を包み、彼は眼がくらみそうになった。
「そうよ、大事な話があるの」とお兼は囁いた、「中でゆっくり聞いてもらうわ、ね、ここへはいりましょう」
「おら、――」と云って彼は足を踏ん張った。
「世話をやかせないで」
「それでも、おら」と彼は口ごもった。
「いいから」とお兼は荒い息をしながら、おどろくほどの力で彼を引きよせた、「なにもおっかないことするわけじゃないじゃないの、たまには男らしくするもんよ」
助なあこの歯ががちがちと鳴った。
お兼は彼を小屋の中へ伴れこみ、入口の戸を閉めた。