Classici giapponesi con furigana
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あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Leggi 青べか物語 (あおべかものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.961 caratteri · 317 schermate
この種の漉き小屋は、入口の三尺の引戸に南京錠が掛けてある。しかしその多くはぐらぐらで、鍵の必要はなく、ちょっと引張れば錠前ごと抜けてしまい、出てゆくときには元のように挿し込んでおけばいいのであった。
「あんた、まだふるえているの」小屋の中からお兼の声が聞えた、「さあ、そんなにしてちゃ窮屈じゃないの、この手をこうしなってば」
ついで彼女の含み笑いが聞えた。
「助さん」とあまえた鼻声でお兼が云った、「あんた幾つ、――そう、十九なの、若いのね、うれしい」
お兼はそのとき三十五歳であった。亭主のしっつぁんは呑んだくれの怠け者で、ときたま思いだしたように、なにかの雇われ仕事にでかけるが、「まる一日働いたことがねえ」といわれていた。博奕を打つでもなく、女にちょっかいを出すわけでもない。ただ酒を飲んで寝ころがるか、ぶらぶら歩きまわってむだ話をするだけである。云うまでもないだろうが、家計は稼ぎ手のお兼がにぎっていて、しっつぁんは与えられる小遣いでやっているのだが、そんなものが長くある筈はなく、彼はもっぱら奢ってくれそうな相手を求めてぶらつき、またしばしばお兼の男のところへいってねだった。