Classici giapponesi con furigana
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あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Leggi 青べか物語 (あおべかものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.961 caratteri · 317 schermate
長は近道をするために、蓮田の中の細い畦道へはいっていった。さすがに、そのあたりからは家もなく、荒地や刈田がひろびろと展開し、あちらこちらに海苔漉き小屋が建っているだけ、という風景になった。わが若き友人は、まさに百万坪というけしきですな、と嘆声をあげ、これは百万坪どころではない、「一千万坪よりももっとあるだろう」と目測の才のあるところを誇示した。
「あれは海苔漉き場だな」と私は笑いながら長に訊いた、「あのころはよく逢曳きに使われたようだが、いまはそんなことはないか」
「あるだよ」と長も笑った、「いまでもやってるだ、場所がこんなところで、人に邪魔されるしんぺえがねえだからね」
前の日にひどく雨が降ったそうで、刈田も蓮田も水がいっぱいだし、畦道は土がゆるんで、足許がひどく不安定だった。そのうちに長がずんずん先へいったと思うと、引返して来て、畦道にちょっと水をかぶったところがあるからおぶって渡ろう、と云った。そこへいってみると、なるほど二メートル五〇ほど畦道が水をかぶっていた。
「おぶうって」私はしりごみをした、「それはだめだよ、おれは重いもの、だめだよ」
長は痩せていて十三貫ぐらいしかないようだし、私は春から少し痩せたものの、まだ十六貫くらいはあると思う。