Classici giapponesi con furigana
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あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Leggi 青べか物語 (あおべかものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.961 caratteri · 317 schermate
そのうえ、人に背負われるなどという経験はまったく記憶にないから、おぶさってもいいという気分はまったく起こらなかった。
「でえじょうぶだってば」と長は構わずにこっちへ背中を向けた、「こっちは馴れてるだからしんぺえはねえよ、さあ」
私は二人の同伴者を見、来た畦道を見やった。戻るのも遠すぎるし、土のゆるんだ畦道の危なさを考えると、これまたうんざりである。長は背中を向けて跼み、「さあ、さあ、おぶさんなよ」としきりにせきたてた。
――そうだ、人を背負うのは馴れているんだ。
釣客を船から陸へ背負ってあげることは、船頭には珍しくない仕事の一つである。私はそれを思いだしたので、おそるおそるではあるが長の背中へおぶさった。おぶさったとたん、長の躯の重心に加わる私自身の重量感が、極めて過重であることを私は知った。長は第一歩を踏みだし、その躯は左へ大きく傾いた。半長靴の泥に踏み込むぶきみな音が聞えた。次の一歩は右へ、大きくぐらっと傾き、私の足が水につきそうになった。
――だめだ、こいつは転ぶぞ。
私は長の肩にしがみついたままそう思い、同時に、長といっしょに水の中へ転倒するならそれもまたよし、と思った。