Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いずこへ

風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇

坂口 安吾

Leggi 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.879 caratteri · 242 schermate

Aozora Bunko

お米やお魚を買うお金をどうしてくれるの。それを一々おッ母さんに泣きついて貰ってこなきゃアいけないの。おッ母さんから貰ってくるなら、あなたが貰ってきてちょうだい。さもなきゃ、私はもう小田原にはいないから」

「何言ってやあんだ。行くところがあったらどこへでも行きやがれッてんだ」

然し胸の底では彼の心は一筋の糸の如くに痩せるばかり、小説を如何にせん、もはや書きつづける自信もない、待合の支払い、連日の酒代を如何にせん、この機会にして書き得なければもはや文学的生命の見込みもない、この切なさを何処に向ってもらすべき。

酔いからさめれば、女房のくりごとも胸にくいこむ。いくらでもないお魚の代金まで母に泣きつく女房のせつなさ、もとより彼自身のせつなさなのだ。心配するな、金策してくる。そこで雑文を書き上京して雑誌社をまわり、三拝九拝ねばりぬいて何がしの金を手に入れる、友だちとお茶をのんで、なんしろ一枚のヒモノを買う金もないてんで女房の奴怒り心頭に発して、などと白昼は大いにケンソンしてお茶をなめているけれども、夕頃に近づくと、どうも飲まずに汽車にのるのはテレちゃうな、ちょっとだけ飲もう、そこでちょっと飲む、まアいいや、今の汽車は通勤の帰りの人でこんでるからなどと、終列車で深夜に帰る。