Classici giapponesi con furigana
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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Leggi 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.879 caratteri · 242 schermate
泥酔して、よろめき、ころがり、泥にまみれて、無一文、おまけに襟のあたりに口紅がついている。
「この口紅は何よ」
「アハハハ。バレたか。アハハハ。それは疑雨荘のマダムに可愛がられちゃったんだ。アハハ」
本当は新橋の片隅の横丁のインチキバアで人喰人種の口のような女にかじりついて貰ったのだが、貧し貪すれば残るものは弱い者いじめの加虐癖ぐらいのもの、しすましたりと嬉しそうにダラシなく笑って、こう言う。女房は烈火の如く憤り、気も顛倒した。彼女は宿六とマダムの交際の真相については露いささかも知らないのだから、貧苦に追われて流浪十幾年、積年の怨み、重なる無礼、軽蔑、カンニンブクロの緒が切れた。
翌日早朝、手廻りのものを包みに人気のない小田原の街を蹴るが如くに停車場へ、上京して、宿六の弟子の大学生浮田信之を訪ねてワッと泣いた。
この大学生はこの前の失踪中もちょっと泣きに行って色々といたわられ、失踪からの帰りには一緒についてきてくれて宿六にあやまってくれたのである。ところがまだ大学生のことだから、一番ありふれた俗世の実相がわからない。夫婦喧嘩は犬も食わないと云って、昔から当事者以外は引込んでいるべき性質のものだが、彼はすっかり女房の言うことをマに受けて、失踪帰りの女房について送ってきたとき、先生、変な女にひっかかるの言語道断