Classici giapponesi con furigana
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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
Leggi 黄金仮面 (おうごんかめん) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 143.357 caratteri · 287 schermate
相手の制服の男が答えた。
「探照燈室の道具箱の中に、君の着換えかなんか入れてなかったかね」
「エエ、私のではありませんが、もう一人の男の制服制帽が這入ってます」
「その男は」
「今日は病気で休んでいるのです」
何だか話が変梃になって来た。
「では、さっき、塔の上から建築事務所へ仕事師を呼びに行ったのは、一体誰だったのだろう。君ではなかったね」
「エエ、私は一度も塔の上へ昇りません」
「アア、ひょっとしたら。……兎も角、あの道具箱を検べて見よう」
探照燈係を引っぱる様に、一警官が塔上へかけ上った。道具箱を開いて見ると、果して、そこにある筈の制服制帽が消えてなくなっている。
果して、果して、大胆不敵の怪賊は、又しても警官隊と群集を小馬鹿にして、彼等の注意力の盲点を巧みに利用し、まさかと思う探照燈係その人に化けて、まんまと重囲を脱出してしまったのだ。黄金仮面の字引には、恐らく「不可能」という文字がないことに相違ない。
直ちに、警官隊、青年団が八方に飛んで、場内を隈なく捜索したが、無論手おくれだ。あの敏捷な怪物が、一時間以上も危険な場内にウロウロしている筈はない。
警官達は、半日以上の大骨折りの末、やっと塔上に追いつめた怪物を、もう一息の所で取逃がした無念さに、足ずりをしてくやしがった。