후리가나로 읽는 일본 고전
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
島崎 藤村의 夜明け前(よあけまえ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 205,629자 · 408화면
ちょうど、吉左衛門が羽織を着かえに、大急ぎで自分の家へ帰った時のことだ。妻のおまんは刀に脇差なぞをそこへ取り出して来て勧めた。
「いや、馬籠の駅長で、おれはたくさんだ。」
と吉左衛門は言って、晴れて差せる大小も身に着けようとしなかった。今までどおりの丸腰で、着慣れた羽織だけに満足して、やがて奉行の送り迎えに出た。
諸公役が通過の時の慣例のように、吉左衛門は長崎奉行の駕籠の近く挨拶に行った。旅を急ぐ奉行は乗り物からも降りなかった。本陣の前に駕籠を停めさせてのほんのお小休みであった。料紙を載せた三宝なぞがそこへ持ち運ばれた。その時、吉左衛門は、駕籠のそばにひざまずいて、言葉も簡単に、
「当宿本陣の吉左衛門でございます。お目通りを願います。」
と声をかけた。
「おゝ、馬籠の本陣か。」
奉行の砕けた挨拶だ。
水野筑後は二千石の知行ということであるが、特にその旅は十万石の格式で、重大な任務を帯びながら遠く西へと通り過ぎた。
街道は暮れて行った。会所に集まった金兵衛はじめ、その他の宿役人もそれぞれ家の方へ帰って行った。隣宿落合まで荷をつけて行った馬方なぞも、長崎奉行の一行を見送ったあとで、ぽつぽつ馬を引いて戻って来るころだ。