후리가나로 읽는 일본 고전
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
夏目 漱石의 彼岸過迄(ひがんすぎまで)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 195,333자 · 385화면
二
これが市蔵の命根に横わる一大不幸である。この不幸を転じて幸とするには、内へ内へと向く彼の命の方向を逆にして、外へとぐろを捲き出させるよりほかに仕方がない。外にある物を頭へ運び込むために眼を使う代りに、頭で外にある物を眺める心持で眼を使うようにしなければならない。天下にたった一つで好いから、自分の心を奪い取るような偉いものか、美くしいものか、優しいものか、を見出さなければならない。一口に云えば、もっと浮気にならなければならない。市蔵は始め浮気を軽蔑してかかった。今はその浮気を渇望している。彼は自己の幸福のために、どうかして翩々たる軽薄才子になりたいと心から神に念じているのである。軽薄に浮かれ得るよりほかに彼を救う途は天下に一つもない事を、彼は、僕が彼に忠告する前に、すでに承知していた。けれども実行はいまだにできないでもがいている。
二
僕はこういう市蔵を仕立て上げた責任者として親類のものから暗に恨まれているが、僕自身もその点については疚ましいところが大いにあるのだから仕方がない。僕はつまり性格に応じて人を導く術を心得なかったのである。ただ自分の好尚を移せるだけ市蔵の上に移せばそれで充分だという無分別から、勝手しだいに若いものの柔らかい精神を動かして来たのが、すべての禍の本になったらしい。