후리가나로 읽는 일본 고전
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 探偵夜話(たんていやわ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 140,363자 · 277화면
寒いあいだは乗り降りの客も至って少ないので、ほかのテーブルや椅子はみな隅の方へ押し片付けられて、たった一つのこのテーブルが店さきに寂しく据えられているだけであった。
「お寒うございましょう。どうぞこちらへ。」と、店にいる三十ぐらいの女房が愛想よく声をかけた。
畳の上には大きい炉を切って、自在にかけた大きい鉄びんの口からは白い湯気をさかんにふき出していた。鉄びんの下には炭火がぱちぱちはねる音がきこえた。古河君もその火を恋しく思ったが、靴をぬぐのが面倒であったので、やはり椅子に腰をおろして土間に休んでいると、女房が瀬戸の火鉢に火を入れて運び出して来た。
「きょうはまったく冷えます。今晩はちっと白いものが降るかも知れません。」
「それでもここらは積もっていませんね。」
「へえ。積もるほども降りませんが、なにしろ名物の空っ風で……。」
言いかけて、若い者は急に立ちあがって入口の硝子戸をあけた。若粧りにはしているが、もう廿七八かとも思われる立派な身装の婦人がこの休憩所へはいって来たのであった。婦人は大きい旅行鞄を重そうにさげて、片手に毛皮の膝掛けをかかえていた。この頃は商売がひまなので、どこの旅館からも一人ぐらいしか客引きを出していない。