후리가나로 읽는 일본 고전
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 探偵夜話(たんていやわ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 140,363자 · 277화면
狸の皮
」
古河君はまずこう言って、そのときの寒さを思い出したように肩をすくめた。古河君は七年ほど前の二月に、よんどころない社用で越後の方まで出張したが、その用向きが思いのほかに早く片付いたので、大きい声ではいえないが、途中でひと息つくつもりで、会社の方から受け取っている旅費手当てで二、三日を或る温泉場に遊び暮らそうとした。かれが今降り立ったのは、上州のある小さい停車場で、妙義の奇怪な形も唯ぼんやりと薄黒く陰っている日の午後四時半頃であった。
なにしろ信越地方の二月の雪を衝いて、けさの一番汽車で発って来たのであるから、古河君は骨まで凍ってしまった。汽車を降りると、寒さが又急に加わって、細かい雪を運ぶ浅間おろしがひゅうひゅうと頬を吹きなぐって来るので、古河君は又縮みあがって、オーヴァーコートの襟を引き立てながら、小さい旅行鞄をさげて歩き出すと、客引きに出ている旅館の若い者が二、三人寄って来た。
初めてこの土地に下車したので、古河君は別に馴染みの宿もなかった。どこでも構わないと思ったので、真っさきに来た若い者に鞄をわたして、ともかくも駅前の休憩所へ案内されると、入口の土間には小さいテーブルを取り囲んで粗末な椅子が四、五脚ならべてあった。