후리가나로 읽는 일본 고전
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しんせい
新生
島崎 藤村
島崎 藤村의 新生(しんせい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 334,815자 · 663화면
九十四
夜の九時といえば町々は早寂しく、燈火の数も減り、饑えた犬の鳴声が何となく彼の耳についた。この都会に残っている人達はどうなるだろう、婦女はどんな目に逢うだろう、それを思うと普仏戦争の当時巴里の籠城をした人達は暗い穴蔵のような地下室に隠れて鼠まで殺して食ったと言われているが、それと同じような日が復た来るだろうかとは、考えたばかりでも恐ろしいことであった。翌朝の早い出発を思って、彼はろくろく眠らなかった。
九十四
ドルセエの河岸の停車場から岸本は汽車で出掛けた。この田舎行には彼は牧野の外に巴里在留の三人の画家をも伴った。戦争は偶然にも巴里のような大きな都会の響からしばらく逃れ去る機会を彼に与えた。あの石造の街路を軋る電車と自動車と荷馬車との恐ろしげな響から。あの層々相重なる窮屈な石造の建築物から。あの人を弱くするような密集した群集の空気から。
同行五人の旅は汽車の中をも楽しくした。前の年の五月に岸本がマルセエユからリオンへ、リオンから巴里へと向った時は殆んど夜中の汽車旅であったから、今度の車窓に映るものは初めて見るもののみのようであった。彼は仏蘭西中部の平坦な耕地、牧場、それから森なぞをめずらしく見て行った。