후리가나로 읽는 일본 고전
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
小出 楢重의 小出楢重随筆集(ならしげざっぴつ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 334,351자 · 657화면
殊に猿沢池からかんかん照りの三条通りを春日へ登って行く午後三時の暑さと来ては類がない。坂道は丁度張物板を西日に向って立てかけてあるのと同じ角度において太陽に向っているのである。その上それが初秋の西日の透徹なる光輝ででもあれば背中は針で刺されるようだ。も一つ同じ角度において油阪というのがある。これは名からして煮えつまるような油汗が噴き出している感じだ。だから私は奈良では常に太陽が東にある時にのみ絵を描きに出た。午後になると、樹蔭で鹿の群と共にぼんやりしていた。
だが土用を過ぎると急に天地の色から一つ何物かが引去られ、寂寞と空白が漲り初める。私はいつもその不思議な変化を味って眺める。それは奈良に限った事ではなく海の色にも月の色にも、この天地のあらゆる場所から何かが引去られて行く。奈良の情趣では私はこの秋の立つ頃を愛する。まだ何しろ暑いのでカフェー組合の運動会も在郷軍人の酔っぱらえる懇親会もなければ何にもやって来ない。ただ時に馬酔木の影に恋愛男女がうごめいていたりするだけである。
だが秋の風は時に冷たく油汗を撫でる。全く立秋を過ぎるとはっきりと目にこそ見えないが、雲の様子が狂い出し、空気は日々清透の度を加え、颱風が動き出す。